「技術はある。でも、どう商品にすればいい?」
製造業やメーカーの方からよくいただく相談です。確かな加工技術を持ちながらも、自社ブランドとして製品化・販売するノウハウがない——そのギャップに悩む企業は少なくありません。
今回ご紹介するのは、1977年創業のステンレス加工メーカー・株式会社雑賀製作所様の事例です。自社アウトドアブランド「SOLES(ソレス)」を立ち上げる際に、&Aがパートナーとして参加しました。コンセプト策定からプロダクトデザイン・パッケージ・WEB制作まで、一気通貫でサポートしています。
同じような課題をお持ちのメーカー・製造業の担当者の方に、具体的なプロセスと考え方をお伝えします。
クライアントの背景:技術力はトップクラス、でも「見せ方」が課題だった
株式会社雑賀製作所様は、創業から約50年にわたりステンレス加工を専業としてきた企業です。大手メーカーの部品製造などを手がけ、確かな実績を積み上げてきました。一方で、自社製品を持つことへの強い意欲もありました。
しかし、いざ自社ブランドを立ち上げようとすると、次のような壁にぶつかりました。
- 何を商品にすればよいか分からない——加工技術は豊富にあるが、「売れる商品」への落とし込み方が不明
- 競合との差別化が見えない——アウトドア市場はすでに多くのブランドが存在し、後発で入るための切り口が必要
- ブランディング全般の相談先がない——ロゴ・パッケージ・WEBサイトを個別に発注すると、世界観がバラバラになるリスクがある
こうした課題を持って&Aにご相談いただきました。
&Aのアプローチ:なぜ「蚊取り線香ホルダー」だったのか
最初のプロダクトとして提案したのは「折りたたみ式焚き火台」でした。キャンプ市場の拡大が続く中、ステンレスの精密加工技術が最も活きるアイテムとして選定しました。シリーズ第1弾として発売し、ブランド「SOLES」の世界観を確立しています。
そして今回の「蚊取り線香ホルダー」は、その第2弾として企画したものです。
選定の理由は大きく3つあります。
- シリーズの統一感を保てる——焚き火台と同じステンレス素材を使うことで、ブランドとしての一貫性が生まれる
- 通年・室内でも使える——キャンプシーンだけでなく、自宅のインテリアとしても使える設計にすることで、販売機会を広げられる
- 競合製品との明確な差別化ができる——既存の蚊取り線香ホルダーは樹脂製や安価な金属製が多く、ステンレス×本革という素材の組み合わせで上位市場を狙える
ただ「作れるから作る」のではありません。市場の中での立ち位置とターゲット層を先に定めたうえで商品を設計する——これが製造業のブランド立ち上げで最初に必要なステップです。

デザインのこだわり:3つの設計判断
① 本革レザーのフック採用——縦・横どちらでも使える実用性
蚊取り線香ホルダーは、吊るして使うケースと、テーブルや地面に置いて使うケースの両方があります。そこで、本革レザーのフックを採用することで縦置き・横置きの両方に対応しました。
革素材はステンレスとの相性が抜群です。無骨すぎず上品すぎない、アウトドアとインテリアの中間にある絶妙なバランスを生み出しています。さらに、使い込むほど風合いが増す革の経年変化も、製品の魅力の一部として設計に組み込みました。
② メッシュデザインの徹底追求——機能と見た目を両立
蚊取り線香ホルダーにとってメッシュ部分は機能上不可欠な要素です。煙を外に逃がしながら、線香を安全に保持する必要があります。
しかし&Aでは、このメッシュをただの「穴の集まり」にしませんでした。パターンの形状・間隔・深さを何度も検討しています。その結果、光が当たったときに美しく見える仕上がりを実現しました。「機能として必要だから入れた」ではなく、「見た目としても成立するよう作り込んだ」ことが、他製品との違いです。
③ バイブレーション加工——傷が目立たない、落ち着いた質感
アウトドアで使う道具は、どうしても傷がつきます。鏡面仕上げのステンレスは美しい一方、使い始めてすぐに傷が目立つというデメリットがあります。
そこで採用したのが「バイブレーション加工」です。表面に細かな均一の研磨目を施すことで、光の反射が抑えられ落ち着いた素材感が生まれます。つまり、細かい傷も馴染みやすくなります。長く使っても美しさが保たれる、アウトドアブランドとして理にかなった仕上げです。
ワンストップ対応の価値:なぜ窓口を一つにするべきか
今回の案件で&Aが担当した範囲は、プロダクトデザインだけではありません。
- ブランドコンセプトの策定
- ロゴ・ブランドデザイン
- プロダクトデザイン(3D設計・量産対応)
- パッケージデザイン
- イメージ撮影ディレクション
- WEBサイト制作(soles.jp)
これらを別々の会社に発注した場合、何が起きるか。デザインの方向性がズレる、仕様の齟齬が生まれる——そうした問題が発生しがちです。また、修正のたびに複数の業者と調整が必要になります。
一社が一気通貫で担当する最大のメリットは、一貫性です。ブランドのトーン・ビジュアル・言葉の世界観を、すべて統一できます。雑賀製作所様の「技術への誇り」と「アウトドアへの情熱」が、製品・パッケージ・WEBのすべてに宿っているのはそのためです。

まとめ:「技術がある」ことと「売れる商品を作る」ことは別のスキル
今回の事例から見えてくるのは、製造業・メーカーが自社ブランドを立ち上げるうえで必要な視点です。
加工技術の高さは、そのままでは消費者には伝わりません。「その技術で何を作るか」「誰に向けて作るか」「どう見せるか」——この3つを整理することが出発点です。そこではじめて、技術が商品の価値として届きます。
&Aでは、商品企画の段階から関わることで、製造業・メーカーの技術力を最大限に活かした商品開発をサポートしています。
自社ブランドの立ち上げや商品開発でお悩みの方へ
「技術はあるが商品化の方法が分からない」「デザイン・パッケージ・WEBをまとめて相談したい」という方のご相談を受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。
案件概要
| クライアント | 株式会社雑賀製作所 |
|---|---|
| ブランド | SOLES(ソレス) |
| プロダクト | 蚊取り線香ホルダー |
| 素材 | ステンレス・本革レザー |
| 対応範囲 | ブランドコンセプト / プロダクトデザイン / パッケージデザイン / WEB制作 |
| カテゴリ | プロダクトデザイン / トータルデザイン |